コミュニケーションに関する問題です。
日本文化に当てはめて考えると、わかりやすかったと思います。
問1
会話において「統語レベル」の誤解が生じる例を選びます。
「統語」とは、文が構成される仕組み、すなわち文法規則のことです。
「音韻レベルの誤解」は聞き間違い、「意味レベルの誤解」は語の意味を間違って解釈することです。
選択肢を見ていきましょう。
1 指示対象「あれ」が指す意味を間違って解釈しているので、意味レベルの誤解です。
2 「小さい」のが「猫」なのか、「声」なのかわかりません。修飾関係は、文法に関わることなので、これが統語レベルの誤解です。
3 聞き誤りなので、音韻レベルの誤解です。
4 「結構です」の意味を間違って解釈しているので、意味レベルの誤解です。
よって、答えは2です。
問2
高コンテキスト文化=察しの文化です。日本語がまさに当てはまりますね。
言葉ではっきりと言わないため、言葉の意図を読み取る力が必要です。
選択肢2〜4は、「互いにはっきり」「直接的な話し合い」「文字どおりの意味で解釈」とありますが、これは低コンテキスト文化の特徴です。欧米語は基本、低コンテキスト文化に属しますが、その傾向が最も強いのはドイツ語です。
選択肢1は、「言わないけど、わかってるよね?」といった暗黙の了解で話が進むので、これが高コンテキスト文化の特徴です。
よって、答えは1です。
問3
日本語における「否定応答」の例を選びます。
- 肯定応答の例:A「そのカバン、いいね!」
B「ありがとう!そうでしょ?」 - 否定応答の例:A「そのカバン、いいね!」
B「そんなことないよ!これ安物なんだよね。」
否定応答は、謙遜したネガティブな返事です。日本人がよく使いますよね。
よって、答えは4です。
問4
「逸脱に対する評価や調整」、ちょっとわかりにくいですが、つまり「非母語話者と母語話者のコミュニケーションがうまくいかないときどうするか?」ということです。
不適当なものを選びます。
1 相手が何を言っているか分からないとき、簡単な言葉で話したり、聞き返しますよね。よって、○です。
2 内容がわかったときは相づちをして、相手が言葉につまったときは「もしかしてこういうことが言いたいのかな?」と推測して、会話をリードします。よって、○です。
3 「社会言語的な逸脱」というのは、日本のマナーから外れていたり、先生に敬語を使わなかったりすることです。この場合は、正しく指導する必要があるので、否定的な評価も必要です。よって、×です。
4 「談話生成上の逸脱」というのは、間違った文章構成のことです。いきなり話題が変わったりするなどを指します。でも、話題が急に変わってもそれぞれの文が通じれば、特に大きな問題だとは考えません。よって、○です。
よって、答えは3です。
問5
「意味交渉」が出てきたら、思い出すべきはインターアクション仮説です。
インターアクション仮説:学習者が目標言語の母語話者とやりとりする際に生じる意味交渉が習得に貢献するという仮説。
意味交渉:コミュニケーションが上手くいかないときに行う工夫
- 理解チェック:相手が話の内容を理解しているか確認する。
- 明確化要求:「どういう意味ですか?」などと相手の発言を明確にしてもらう。
- 理解チェック:「〜という意味ですか?」などと相手の話を自分が理解しているか確認する。
選択肢2で、YはXの発言を受けて「ずっと東京に住んでいたということ?」と聞いています。
これは、相手の話を自分がちゃんと理解しているかを確認しているので、理解チェックです。
よって、答えは2です。