【学校文法と日本語教育文法】についてです。
まずは、この2つの違いを明確に理解しましょう。
- 学校文法(国語文法):
対象者は、日本語母語話者。日本語の成り立ちをわかった上で、母語話者の目線で整理した文法。 - 日本語教育文法(日本語文法):
対象者は、外国人や別言語の母語を持っている人。4技能(読み、書き、話す、聞く)すべて出来ない外国人向けの文法。
(16)
学校文法は、橋本進吉が分類した橋本文法がベースとなっています。
よって、正解は2です。
(17)
学校文法における語の形態や品詞の扱い方に関する記述です。
1 活用を持つ語を「自立語」と呼ぶ。
→「自立語」とは、単語の中でそれだけで一つのまとまった意味を持っている語です。
活用のない名詞も自立語なので、これは×です。
2 品詞の一つとして「指示詞」がある。
→指示詞(これ、それ、あれ)の品詞は代名詞です。 よって、×です。
品詞11種類:
動詞、形容詞、形容動詞、名詞、代名詞、副詞、連体詞、感動詞、接続詞、助動詞、助詞
3 品詞は文節で区切った単位に等しい。
→例:白い/花が/咲いて/いる。 ←文節で区切る
例:白い・花・が・咲い・て・いる。 ←品詞で区切る
文節より、さらに細かく区切られたのが品詞です。品詞は、自立語と付属語に分けられます。
よって、×です。
4 動詞を語幹と活用語尾に分ける。
→例:読む 語幹:よ 活用語尾:む 読ま(ない)ー読み(ます)ー 読む ー 読め
食べる 語幹:たべ 活用語尾:る
動詞は、活用しても変化しない語幹と、活用のときに変化する活用語尾に分かれます。
これは、○です。
よって、正解は4です。
(18)
学校文法と日本語文法で、活用形の分け方と名称の比較を確認しましょう。
学校文法 | 未然形 | 未然形 (音便形) | 連用形 | 連用形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
語形(書く) | 書かない | 書こう | 書きます | 書いて | 書いた | 書く。 | 書くとき | 書けば | 書け。 |
日本語文法 | ナイ形 | 意向形 | マス形 | テ形 | タ形 | 辞書形 | 辞書形 | 仮定形 | 命令形 |
日本語文法の辞書形は、学校文法では
連体形と終止形に呼び分けられます。
よって、正解は1です。
(19)
文中で単独で使えないのはどれでしょうか?
1 動詞の命令形
→例:書け、読め、来い
単独で使えます。
2 動詞の未然形
→例:書か(ーない)、読ま(ーない)、こ(ーない)
「書か」は単独では使えないので、これが正解です。
3 形容動詞の終止形
→例:きれいだ、静かだ、正確だ
問題なく、単独で使えます。
4 形容動詞の仮定形
→例:きれいなら、静かなら、正確なら
「部屋がきれいなら、掃除しなくて構いません。」と単独で使えます。
よって、正解は2です。
(20)
学校文法と日本語教育文法についてです。
1 学校文法では、単独で文節を作れる語のうち活用するものを二つの品詞に分けている。
→二つではなく、三つです。(動詞、形容詞、形容動詞)
2 学校文法では、丁寧体に基づいて活用の体系が整理されている。
→学校文法では、普通体(ダ・デアル)に基づいています。日本語教育文法は、丁寧体に基づいています。
3 日本語教育の文法では、活用形の種類が学校文法より相対的に多い。
→(18)でみたとおり、学校文法の活用形は6種類です。日本語教育文法の活用形は、8種類のほか尊敬形、可能形などたくさんあります。よって、○です。
4 日本語教育の文法では、「見ない」と「高くない」の「ない」は異なる品詞である。
→学校文法では、
「見ない」は「見」(動詞未然形)+「ない」(助動詞)
「高くない」は「高く」(形容詞連用形)+「ない」(形式形容詞)
となりますが、
日本語教育文法では、こんな複雑に分けたら学習者が混乱してしまいます。なので、
「見ない」は「見る」のナイ形、「高くない」は「高い」のナイ形で同じです。
よって、正解は3です。