日本語教育能力検定試験の勉強をしていると、「○○ストラテジー」という言葉がたくさん出てきませんか?
よく出てくるストラテジーを、一旦整理してみました。
学習者のストラテジー
○○ストラテジーの前に、学習者はどのように第二言語を身につけていくかを確認しましょう。それが、上の図です。
まず、第二言語(L2)の知識は、大きく「宣言的知識」と「手続き的知識」に分けられます。
・宣言的知識:意識的に理解していて、言語化できるもの。例:文法知識
・手続き的知識:その知識を使って言葉を理解したり、行動ができるもの。一度覚えたら、無意識にできるもの。 例:自転車の乗り方、泳ぎ方、パソコンの文字入力など
手続き的知識はさらに、「認知プロセス」と「社会プロセス」に分けられ、「認知プロセス」はさらに使うための処理である「使用プロセス」と、学習する方法や手段として「学習プロセス」に分けられます。
階層が入り組んできましたが、重要なのはここからです。
学習ストラテジー
- 学習ストラテジー:第二言語の知識を蓄え、自分のものにしていく様々な手段
<直接ストラテジー>
- 記憶ストラテジー:例 語呂合わせ、ひたすら書く、記憶する作業
- 認知ストラテジー:例 習ったことを実際に使う、分析する、ノートにとる
- 補償ストラテジー:足りない知識を補うために使う。 例 わからない語の推論、身振り手振りで代用
<間接ストラテジー>
- メタ認知ストラテジー:例 勉強の計画を立てる、自己評価
- 情意ストラテジー:例 リラックス、音楽を聴きながら勉強、自分を褒める
- 社会的ストラテジー:例 周りの人々との交流の中で学習をする。人に質問したり、間違いを訂正してもらう。
学習に直接関わる<直接ストラテジー>と、間接的に関わる<間接ストラテジー>に分かれます。
各ストラテジーは、例と併せて覚えましょう。
なんとなく文字通りではあるのですが、「メタ認知」とは、簡単に言うと自分を客観的に観察することです。自分の学習は周りと比べてどの位置にいるのか?や客観的に見て自分の学習計画はどうなのか?などと考えることです。
コミュニケーションストラテジー
使用プロセスの下に、コミュニケーションストラテジーがあります。
・コミュニケーションストラテジー:
コミュニケーションに問題が起きたときにどのように対処するか。
- パラフレーズ(言い換え):近い意味の語で代用、自分で語を作る、具体的に詳しく説明するなど。
- 母語使用:母語をそのまま使うほか、母語を直訳して使う場合も。
- 援助要請:聞き返し、身振り手振り、意味を説明してもらうなど。
- 回避行動:話題を変える、無視、わからない表現の使用を避けるなど。
外国語を勉強したことがある方は思い当たるのではないでしょうか?
わたしは、大学時代にフランス語を第二外国語として勉強していましたが、援助要請を常にしていた気がします。。。
日本語指導の際には、学習者がコミュニケーションストラテジーに頼りすぎないように、指導を進めていくことが大切ですね!