【失敗談】ある日の授業で・・・
授業で、「庭」という言葉を導入したときのことです。生徒からこんなことを言われました。
庭、先生が言いました。
わたしは「庭は今日初めて導入したけどなんだろう・・・?」と思い、詳しく生徒に聞いてみました。するとわかったのが、「庭」ではなくて「では」のことを指していました。思い返すと、ことあるごとにわたしは、
では、○○さん、これを読んでください。
では、今日は Lesson8 を勉強します。
と、「では」を連発していたのです。生徒に言われてみて、確かに・・・痛感しました。この経験から学んだことは、初級の学生にはフィラーやつなぎ言葉に気をつける!ということです。
フィラー・つなぎ言葉とは?
フィラーとは、文の間を埋める言葉で、日本語では「あのう」「えっと」「えー」などを指します。何を話そうかを頭の中で整理しているとき、無意識に出てしまうことが多いです。フィラーはプレゼンやスピーチの場面では、挟まないほうがよいとされています。その理由は、フィラーがあると聞き取りにくくなるからです。私は営業職時代に、プレゼンの練習でフィラーに気をつけるよう上司から言われたことを思い出しました。確かに、聞く側になると話し手のフィラーは少し気になりますよね。
つなぎ言葉とは、「接続詞」のことです。順接(だから、それで・・・)、逆説(しかし、でも・・・)など種類が多いです。フィラーと違い、会話を構成していく上で、接続詞は大切な役割を担っています。
日本語学習初心者と話すとき、気をつけたいこと
フィラーは極力使わない
わたしは、初心者に対しては、フィラーは使わないよう意識しています。中級レベルになると、フィラーが入った自然な会話に慣れる必要がありますが、初級レベルでは学習者の混乱を招くだけです。
わたしの失敗談のように、学生が誤った内容を覚えてしまうこともあります。直接法(日本語で日本語を教える)の場合、最初のうちは学習者から質問来ることはほとんどありません。なので、教師が言った内容をそのまま理解してしまいます。
慣れないうちは、緊張から「えっと・・・」と言ってしまうことが多いのですが、意識してグッとこらえています。そして、その助けになるのが教案の準備だと思います。授業の流れを考えておくことで、緊張せずに授業を進めることができます。
つなぎ言葉は厳選
先に書いたように、つなぎ言葉は会話を成立させる上で重要な役割を担っています。ですが、初心者へは多用しないように気をつけています。「では」は「それでは」の略ですが、これは順接の接続詞です。次の文型項目や練習問題に入りたいときに、「では〜」と言ってしまったわけですが、使わなくても「Aさん、読みます。」や「教科書を見ます」など指示を出すことができました。その接続詞は本当に必要なのか、必要であれば必ず意味を説明してから使うようにしています。
ちなみに、教科書「みんなの日本語」では、第6課で初めて接続詞「それから」が出てきます。「3時までサッカーをします。それから友達を映画を見ます。」です。
つなぎ言葉を使うのであれば、厳選して、学習者が意味を理解した上で使いましょう!
発音はハッキリ、でもゆっくりしすぎはNG
(当たり前ですが、)発音はハッキリです。オンラインならなおさらハッキリ話すように気をつけています。「自分はハッキリ話している!」と思っても、録音した声を聞いてみると意外とぼそぼそ話していたり、自分のアクセントに気づくことができます。
スピードについては、ゆっく〜〜〜り話しすぎるとイントネーションが崩れてしまうので、注意が必要です。初級の段階では、一文が短いので過度にスピードを落とす必要はないと思います。それよりは、ハッキリと発音を聞かせることのほうが大切です。
まとめ
- 「ええっと」「あのう」「え〜」などフィラーは意識して使わない。
- 接続詞は不要であれば使わない、使う場合は意味を確認してから。
- 発音はハッキリ!スピードはなるべく自然に。
これらは、日本語を習い始めたばかりの学習者に「うわ、難しい・・・無理かも。」と思わせないためのテクニックです!なるべくシンプルに、色々な意味でハッキリとしたレッスン作りを目指しています。