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それでは後半いってみましょう!
コグニティブ・アプローチ(認知学習論)
提唱者はキャロル、オースベル。
認知心理学とチョムスキーの変形生成文法を基にした、「学習者中心主義」の教授法。学習者が理解しやすい場面や状況を重視。母語を使用し、4技能に同程度の重点を置く。
長所
- 既習項目に結びつけた学習内容なので、習得が早い
- 意味を理解してから学習をするので、学習者が能動的になる
短所
- 教師が言語構造や発音について正確な知識を持っている必要がある
TPR(Total Physical Response)全身反応教授法
提唱者はアッシャー。
教師が学習者に命令を与え、それに従う「聴解能力優先主義」。聴解(左脳)と身体行動(右脳)を結びつけて学ぶことで記憶に残りやすくなる。
長所
- 聞くだけでなく、意味を理解し身体行動につなげるので、学習者の積極的参加が求められる
- 発話は求められないので、学習者の心理的負担が軽い。
短所
- 実際のコミュニケーションとは大きくかけ離れている
- 抽象的概念の導入が難しい
- 導入形式が命令形なので内容が限定されやすい
サイレント・ウェイ
提唱者はガッテーニョ。
教師は教具やチャートを使って学習者に指示を与え、できるだけ発話を控える。学習者の自発的な発話を促し、教師の指示に対し答えを探すことが目的。
長所
- 学習者同士の相互協力が培われる(グループダイナミクス)
- 教師の沈黙により、学習者の発話が増える
- 学習者中心の活動になる
短所
- 大規模クラスには向かない
- 教師からの情報が少ないため、学習者はフラストレーションに陥りやすい
- 教師のモデルが少ない
CLL(Community Language Learning)
提唱者はカラン。
心理学のカウンセリングを使った教授法。クラスを一種の共同社会とみなし、教師が「カウンセラー」、学習者は「クライアント」となる。学習者は円になって座り、決まった話題について意見を述べる。教師はその周りを回りながら学習者の手助けをする。その様子をテープレコーダーに録音し、文法事項等を教師が説明する。
学習者の学習到達度を5段階に分けている。
- 胎児期:完全に教師に依存している時期
- 自己主張期:やや自信がつき、発話するようになる時期
- 誕生期:自分から発話する時期
- 青年期:教師の助言も受けつつ、一人で考えて行動する時期
- 独立期:完全に一人で自由に行動する時期
長所
- 母語で意見を述べてもいいので、学習者の不安感や恐怖心を取り除くことができる
- グループ活動により、実際のコミュニケーションに近い活動ができる
短所
- 小規模クラスのみに限られる
- 教師は目標言語と学習者の母語、両方を理解している必要がある
- 教師は心理学的知見も要求される
サジェストペディア
提唱者はロザノフ。「暗示」によって学習効率が増進するとし、精神医学の手法からヒントを得て開発された教授法。
学習者がリラックスした環境で学習できるように、クラシックを流したり、絵画や観葉植物を教室に置いたりする。授業は、①プレセッション②コンサートセッション③ポストセッションからなる。
長所
- 心身ともにリラックスし、自己肯定感を高める
- リラックスした半覚醒状態で授業を受けることで、知識を深い記憶に結びつけることができる
短所
- 学習環境の準備に手間とお金がかかる
- 教師が人格的にも信頼される存在でなければならない
- 効果的な授業運営ノウハウが必要
ナチュラル・アプローチ
テレルによって提唱され、クラッシェンによって理論化が進み、体系化された。
聴解優先の直接法の一種。5つの仮説に基づく。
- 習得学習仮説
- 自然順序仮説
- モニター仮説
- 入力仮説
- 情意フィルター仮説
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長所
- 発話を強制しないので学習者の心理的負担が減る
- 自然な言語とコミュニケーション能力が身に付く
短所
- 正確な言語運用能力は身に付かない
コミュニカティブ・アプローチ、CLT
提唱者はハリデー、ハイムズ、ウィルキンズなど。
現在、最もポピュラーな教授法。タスク中心の活動、学習者中心で教師は補助的役割。文や語の持つ「意味」の理解を重視する。
■コミュニケーションの原則
- インフォメーション・ギャップ:自分と相手との情報量の差
- チョイス:話し手は自分が何を言うかを自由に選択できる
- フィードバック:エラーや改善点を活動のなかに自然に組み込む
■主な練習方法
- ロールプレイ:状況と役割を決めて行う練習
- シミュレーション:社会活動の一部を教室内に仮想的に持ち込んだ練習。中上級向け練習。
- プロジェクト・ワーク:グループでテーマを決め、最終的にプレゼンテーションを行う。
- ゲーム:勝ち負けという明確な目的があるが、単純に楽しめる活動。
- タスク・ワーク:設定された目標に向けて、目標言語を使用する練習。
長所
- コミュニケーション中心なので、実生活に即した活動が可能
- その場の状況にあった言語メッセージや非言語メッセージの送り方、受け方が身に付く
短所
- 正確な言語形式は身に付きにくい
ざっと復習できましたか?
実際は、これらの教授法を組み合わせて授業を行います。
各教授法の良い点は、自分の授業に生かしてみましょう!