中間言語とは?
「このラーメンはおいしいだったです。」
「わたしは漫画を読むが好きです。」
学習者はこんな間違いをすることがあります。
でも、このような言い方は学習者の母語にも日本語にもありません。つまり、学習者が作り出したものなのです。
このような母語と目標言語の間にある言語体系を、「中間言語」といいます。
・中間言語:
学習者が目標言語の習得途中で使う言語。習得段階に応じてどんどん変化していく。
セリンカーが提唱した概念。
イメージとしてはこんな感じ!
なぜ中間言語が作られるの?
セリンカーは中間言語が作られる理由として、5つの要因をあげています。
- 言語移転
- 過剰一般化
- 訓練上の転移
- 学習ストラテジー
- コミュニケーションストラテジー
一つずつ見ていきましょう。
言語移転
目標言語を学習する際に、学習者の母語が何らかの影響を与えることです。
「正の移転」と「負の移転」に分けられます。
- 正の移転:母語の知識が、目標言語の学習に役立つ。プラスの要因。
→日本語の過去形は「〜た」多いので、英語の過去形「〜ed」が理解しやすい。 - 負の移転:目標言語の学習にマイナスの要因、「母語干渉」ともいう。
→日本人は、英語の発音/r/と/l/の区別が苦手。
過剰一般化
一つの規則を別の規則を持つ語にも当てはめ、一般化して考えることです。
例:話しられる、書きられる
→可能形は動詞+「れる」もしくは「られる」だが、全ての動詞に「られる」を付けている。
例:eated
→英語の過去形はすべて後ろに「ed」を付ければいいと一般化して考えている。
訓練上の転移
教師の指導や教室での練習が、目標言語の学習にマイナスの影響を与えることです。
学習者は、教師の発音や発話の癖を真似します。イントネーションやフィラー(えーっと、あの、など)の多用など、自分では気が付かないようところを学習者は「それが正しいんだ。」と思い込んでしまいます。
自分の癖を知るには、他の先生に指摘してもらったり、授業を録画して確認するのがおすすめです。
自分が話している姿を見るのはなかなか苦痛ですが、客観的に見て発音やよく使う語彙などをチェックしておくことは、日本語教師として大切だと感じます。
学習ストラテジー
学習者が目標言語を学習していく上で起こる、誤った方策のことです。
間違えた語や表現をそのまま覚えてしまうことです。
コミュニケーション・ストラテジー
コミュニケーションに問題が起きたときに、どのように対処するかということです。
例えば、助詞は分からなくて、「わたし 彼 買い物 行く 話した」と言ったとき、
・わたしは彼に買い物に行くと話した
なのか、
・わたしは彼と買い物に行くと話した
どちらの意味なのか判断がつきません。
学習ストラテジーやコミュニケーション・ストラテジーについては、
こちらの記事に詳しく書いてあります!
まとめ
中間言語の要因(By セリンカー)
- 言語移転
- 過剰一般化
- 訓練上の転移
- 学習ストラテジー
- コミュニケーションストラテジー