【敬語】二重敬語にご注意!

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『先生がわたしの作文をご覧になられました。』

口に出してみると、丁寧な言葉遣いのようにも思えますが、この文は正しくありません。
正しくは、『先生がわたしの作文をご覧になりました。が正しいです。

この誤用は、同じ種類の敬語を重ねているため、二重敬語と言います。
つまり、尊敬語の「ご覧になる」と「られる」の両方を使うことはNGです。

さて、敬語は、5種類に分けることができますが、ご存知でしょうか?
学習者への指導のときは、詳細な説明は混乱を招きますが、日本語教育能力検定試験では、分類を問われることがあります。覚えていれば瞬殺できるので、確実に点を取りましょう!

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なぜ人は敬語を使うのか?

そもそも、「どうして敬語を使うのか?」と日本語学習者に聞かれたらなんと答えますか?

日本人が敬語を使う理由として考えられることが2つあります。

  1. 社会や集団のメンバーとしての正当性を示す。
  2. 主語を省略するため。

まず、1ですが、これはつまり「自分は敬語が使えるまともな人間である!」ということを周りに示しています。集団の一員として生活していくためには、人から信用される必要があります。そのために、人は自然と敬語を使っているのです。まさに「恥の文化、日本」ですよね!

2ですが、これは日本語の特徴である「主語の省略」が関係しています。日本語はよく主語を省略します。その際に、「申す」と言えば、主語は自分または自分に近い人、「おっしゃる」と言えば、主語は目上の人、などをいうように主語を言わなくても聞き手は推測することができます。

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5種類の敬語

尊敬語

相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて,その人物を立てて述べるもの。
つまり、相手への敬意を表します。

Ex. いらっしゃる、おっしゃる、召し上がる、〜なさる、お名前、御住所、お忙しい

「お名前」「御住所」「お忙しい」も尊敬語です。これは、相手の名前や住所、忙しいという状態を表すのであって、自分のことには使えません。

謙譲語Ⅰ

自分側の動作をへりくだることで、相手や第三者を相対的に高めて、その人物に対しての敬意を表すもの。

Ex. 伺い、差し上げる、申し上げる、お届けする、ご案内する、お手紙、ご説明

尊敬語と異なり、動作の主語は自分になります。
この「自分側」というのは、例えば、「息子がお宅へ伺います」のように使います。
お手紙やご説明は、「先生へのお手紙」「課長へのご説明」のように、向かう相手への敬意を表します。

謙譲語Ⅱ(丁重語)

自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

Ex. 参る、申す、いたす、おる、拙著、小社

謙譲語Ⅰとの区別が非常にやっかいです・・・

謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違いはなに?

「参る」「伺う」を例に、違いを考えてみましょう。

(1)弟のところへ参ります。・・・謙譲語Ⅱ
(2)弟のところへ伺います。・・・謙譲語Ⅰ


(1)は正しいですが、(2)の使い方は間違いです。
さて、使い分けですが、聞き手への敬意を表す場合は、「参る」を使います。そして、敬意の対象が話題の主の場合は、「伺う」を使います。

今回、弟は身内のなので、敬意を表す必要はありません。なので、話題の主である弟へ「伺う」を使うことはできないのです。

丁寧語 

話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。

Ex. です、ます

これは簡単ですね。
「です、ます」より丁寧さの度合いが高い「(で)ございます」も含まれます。

美化語

ものごとを美化して述べるもの。

Ex. お料理、ご祝儀、お酒、お魚、ご挨拶

「お」と「ご」は接頭語です。
「お」は和語の頭、「ご」は漢語の頭に付けるというルールがあります。例外はありますが、基本的には、訓読みする語は和語、音読みする語は漢語です。
(例外:お野菜、お化粧、ごゆっくり、ご親切、ご入用 など)

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まとめ

国によっては、韓国のように家族にも敬語を使う(絶対敬語)文化があるので、敬語の学習を通じ、日本の文化を理解してもらう必要があります。
教科書「みんなの日本語」では、初級の段階で敬語を学ぶので、「どんな場面で」「誰が「誰に」を意識した、わかりやすい授業を心がけましょう!

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