在留資格「特定技能」って何?
あと、最近「技能実習生」という言葉を聞いたんだけど、違いはあるの?
在留資格は、外国人が日本で生活するために必要な資格で、「特定技能」は在留資格の一種です。まず、在留資格について説明します。
- 在留資格:外国人が日本に滞在するための入管法上の法的な資格。
- 特定技能:日本国内の深刻な人手不足を補う即戦力確保が目的。
- 技能実習:技術や知識を学ぶ場を提供し、開発途上地域の経済発展を担う人材を育成することが目的。
在留資格とは?
外国人が日本に滞在するための入管法上の法的な資格のことです。
令和2年9月現在で、33種類の資格があります。(出入国在留管理庁)
このうちのどれかに当てはまれば、在留資格を申請することができます。
ビザ(査証)との違いは?
海外旅行の際に、ビザを申請したことがある人も多いのではないでしょうか。観光、留学などの目的や、滞在日数に応じて、ビザが必要な国があります。
さて、「在留資格」と「ビザ」の違いはなんでしょうか?
・ビザ = 日本へ入国するための身分証明証の一部。
・在留資格 = 外国人が、日本で生活し、一定の活動を行うことができる法的な資格。
ビザは、日本へ来る外国人の本国にある日本大使館が発行する推薦状です。パスポートとビザがあっても、必ず日本へ入国できるとは限らないんです!それは、ビザの発行は外務省、入国時の審査は法務省(出入国在留管理局)と管轄が異なるからです。
どんな資格があるの?
在留可能な期間はそれぞれ異なりますが、大きく2つに分けられます。
- 就労関係
- 身分関係
就労関係は、その名の通り、仕事目的での在留です。これには、スポーツ選手や歌手、俳優なんかも含まれます。そして、「技能実習」と「特定技能」も含まれます。
身分関係は、永住者や、日本人の配偶者や日本人の子として生まれた者などを含みます。
「特定技能」って何?
就労関係の在留資格の一種である特定技能は、2019年4月に新しく設立されました。
その目的は、日本国内の深刻な人手不足を補う即戦力確保のためです。
下記、14の業種があります。
介護 | ビルクリーニング | 産業機械製造業 | 素形材産業 |
電気・電子情報関連産業 | 建設 | 造船・舶用工業 | 自動車整備 |
航空 | 宿泊 | 農業 | 漁業 |
飲食料品製造業 | 外食業 |
そして、特定技能は、特定技能1号と特定技能2号の区分があります。
特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。
出入国在留管理庁
なんか・・・1号も2号も同じこと言ってない?
そうなんです。特定技能2号を取得するには、現在、1号から移行するしか方法がなく、職種は「建設業」と「造船・舶用工業」の2職種に限定されています。特定技能2号は、1号よりもより熟練した、高度な技術が必要となります。
どうやって特定技能の資格を取得するの?
特定技能1号は、技能と日本語能力を試験などで確認します。
特定能力2号は、技能の試験のみで日本語能力の確認はありません。
⚠︎2021年8月現在、特定技能1号の試験は国内外ですでに実施されていますが、特定技能2号の試験は未だ実施されていません。
また、在留期間も異なります。
- 特定技能1号:在留期間は1年、6か月または4か月ごとの更新、通算で上限5年まで可能。
- 特定技能2号:3年、1年又は6か月ごとの更新で上限なし。要件を満たせば、家族の帯同も可能。
特定技能2号のほうが、待遇がいいですね。要件を満たせば、家族を日本へ呼べる点も嬉しいですね。
「技能実習」って何?
特定技能と同じく在留資格の一種である技能実習は、1993年に制度化されましたが、その目的は、特定技能とは異なります。
技能実習は、日本の技術や知識を発展途上国などに移転し、開発途上地域の経済発展を担う人材を育成することが目的です。つまり、日本は、労働環境を提供するのではなく、技術や知識を学ぶ場を提供します。このことは、技能実習法(2017年施行)で以下の通り書かれています。
技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない
法第3条第2項
この点は、人手不足を補う特定技能とは全く異なる目的のため、混同しないよう注意が必要です。
そして、技能実習は、技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号の区分があります。
入国1年目 (技能等を修得) | 技能実習第1号 |
入国2・3年目 (技能等に習熟) | 技能実習第2号 |
入国4・5年目 (技能等に熟達) | 技能実習第3号 |
技能実習生の在留期間は最大5年です。
そして、業種はどのようなものがあるでしょうか?
技能実習1号は、特に業種の指定はありません。反復単純作業でないことを条件に、日本の企業や団体は、技能実習生を受け入れることができます。
しかし、技能実習2号、3号へ移行する場合は、職種や作業に制限があります。
2021年3月現在では、技能実習2号は85職種156作業、技能実習3号は77職種135作業です。
まとめ
- 在留資格:外国人が日本に滞在するための入管法上の法的な資格。
- 特定技能:日本国内の深刻な人手不足を補う即戦力確保が目的。
- 技能実習:技術や知識を学ぶ場を提供し、開発途上地域の経済発展を担う人材を育成することが目的。